「イリオモテヤマネコの発見」

今泉 吉典∥著 小峰書店

 これも沖縄県立図書館で借りてきた本。子供用のコーナーにあった。小学校高学年~向き、かな。かなり専門的な内容が入ってくるにも関わらず、とても読みやすい。

 1965年、上野の科学博物館で働いていた著者、今泉さんの元に、当時外国だった那覇から「西表島でヤマネコの標本を手に入れた。哺乳類学会で鑑定して欲しい。」といった内容の手紙が届くところから、この本は始まる。

 このヤマネコが「新属」と認められるまでのプロセス、さらに著者が「新種」であることを証明するために証拠を集める過程が主な内容だが、「プロセス」「過程」というより「苦労話」という感じで、気軽に読める。写真や図、他のネコ類との違いを説明するスケッチが随所に入っていることも、読みやすさの一因。

 その後、科学の進歩により、DNA鑑定などで「新種説」は否定されている(既に発見されていた、ベンガルヤマネコと同種と考えられている)ようだが、DNA鑑定などない時代に、地道な、それはそれは大変な苦労をして、このヤマネコにについて調べられたことが分かり、すごい!と思う。

 続編「イリオモテヤマネコを追って」も、お勧め。こちらは実際に西表島に滞在して、ヤマネコの分布を調べた記録。これもまた(著者は体を壊しながらの)地道な、大変な調査だったようだ。

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追記(2018.8.16)
この本の中で調査に同行している息子の「忠明」さんも、今では動物学者として活躍中。
ベストセラーになった本も含めてお名前を見かけることが多く、勝手に親近感を感じて嬉しくなってしまう・・。